遺言書が遺されていない相続の場合、被相続人が遺した財産を、誰がどの程度取得するかについて、相続人全員で話し合って決定する必要があります。これを遺産分割協議といいますが、遺産分割協議は相続人全員の参加が必須であり、相続人全員の合意を得る必要があります。
では、相続人が全員揃わない場合や、参加することができない相続人がいる場合にはどうすればよいのでしょうか。
こちらのページでは、相続人の中に認知症等で判断能力が不十分な方、未成年者、行方不明者がいる場合の相続手続きの進め方についてご紹介いたします。
認知症等で判断能力が不十分な方がいる場合
遺産分割協議は法律行為となるため、認知症等で判断能力が不十分な方は単独で参加することができません。また、たとえご家族であっても、正当な代理権がないまま本人に代わって遺産分割協議書に署名や捺印する行為は違法となってしまします。
このようなケースでは、成年後見制度を利用し代理人を定めて、遺産分割協議に代理参加してもらうという方法があります。成年後見制度を利用する本人の判断能力の程度に合わせて、3つの制度が用意されています。
- 後見:判断能力が欠けているのが通常の状態の方に向けたもので、原則としてすべての法律行為を担う
- 保佐:判断能力が著しく不十分な方に向けたもので、申立てにより裁判所が定める行為を担う
- 補助:判断能力が不十分な方に向けたもので、申立てにより裁判所が定める行為を担う
成年後見制度を利用した相続手続きの流れ
- 家庭裁判所へ後見/保佐/補助の申立てを行う(申立先は成年後見制度を利用する本人の住所地の家庭裁判所)
- 家庭裁判所によって後見人等を選任してもらう
- 後見人等を含め、相続人全員による遺産分割協議を実施
- 取得した財産の名義変更等を行う
申立てを行えば、すぐに後見人等が選任されるとは限りません。本人の認知症の程度を判断するため鑑定を行うなど、個々の事案によって手続きにかかる時間は異なります。目安としては1~2ヶ月程度かかるのが一般的ですので、成年後見制度を利用される際はお早めに相続の専門家へ相談されることをおすすめいたします。
未成年者がいる場合
相続以外の法的手続きの場合は、未成年者の代理人はその親が担うことが一般的ですが、相続においては、未成年者の親も、未成年者と同じ相続人の立場になることが多いです。それゆえ、未成年者の代理人をその親が担ってしまうと、利益相反の恐れがあることから、相続においては親が代理人になることはできません。
相続人に未成年者がいる場合は、家庭裁判所に対して特別代理人選任の申立てを行い、特別代理人を選任してもらいましょう。
行方不明者がいる場合
相続人の中に、連絡がまったく取れず、行方もわからなくなってしまった方がいた場合には、主に以下2つのいずれかの手続きをとります。
- 不在者財産管理人選任の申立てを行い、選任された不財産財産管理人に遺産分割等の手続きを行ってもらう
- 失踪宣言の申立てを行う
いずれも必要書類を準備したうえで家庭裁判所への申立てを要しますので、お早めに相続の専門家に相談されるとよいでしょう。
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