相続手続きや相続税申告は人生でそう何度も経験することではありません。しかしながら相続が発生し、一定額以上の遺産を相続した相続人は相続税申告を行わなければならず、避けて通ることができません。
こちらのページでは、「何から始めたらいいのか?」「どれくらい期間がかかるのか?」といったご不安をお抱えの方に向けて、相続税申告完了までの流れや注意点をお伝えいたします。
相続開始~相続税申告までの流れ
相続税申告は、相続が発生した日の翌日から10か月以内に行わなければなりません。なお、身近な方が亡くなった後はご葬儀や四十九日の法要等でばたつきますので、実質は8か月程度しかありません。この短い期間の中で、行うべき手続きは膨大かつ多岐にわたります。
- 遺言書の有無を確認
相続においては、遺言書がある場合は遺言書の内容が優先されるため、通常の相続手続きとは異なる流れになります。そのため、まずは遺言書がないかを確認する必要があります。 - 相続人および相続財産の調査
相続人(相続財産を取得する権利のある人)が誰であるか、相続の対象となる財産がどのくらいあるかを調査します。
相続人は戸籍収集(被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍と相続人の現在戸籍を取得)を通じて確定させます。必要な戸籍がすべてそろったら、「相続関係説明図」を作成し、親族関係が一目でわかるようにすると良いでしょう。
また財産については、不動産があれば法務局、預貯金があれば金融機関といったように、各所から根拠資料を集めていきます。生前に所有していた財産の種類が多ければ多いほど時間も労力もかかるところです。
一般の税理士事務所では、これらの必要書類の収集は一律でお客様にて進めていただいているケースもあるようですが、熊本相続税申告相談プラザでは、日中はお仕事でお時間の取れない方や、手続きを全てお任せしたい方のニーズにお応えし、書類収集から対応させていただいております。もちろん、ご希望がございましたらお客様にて進めていただくことも可能です。 - 財産目録の作成・財産評価
相続財産が確定し、一定額以上の財産があって相続税申告が発生する見込みがあるときは、相続財産の評価を行います。この相続財産の評価が、まさに専門家の腕が試されるところでもあります。最も難しいといわれるのは不動産の評価で、専門家であっても評価を誤ってしまうことが少なくありません。
また、一定の要件でのみ利用できる相続税申告の特例や控除等は多岐にわたり、相続税に精通している専門家でなければそもそも知らないものも多く、「相続税申告はどの税理士に頼んでも同じではない」と言われるゆえんでもあります。
このように正確な相続財産の評価を1つ1つ行ったうえで、相続税申告が必要となるか、どのくらいの相続税額がかかってくるのかを明らかにします。 - 遺産分割方法の決定
相続人と相続財産の確定後は、誰がどのように相続するのかを相続人全員で話し合う必要があります。これを「遺産分割協議」といいます。協議の中で全員が合意した内容は「遺産分割協議書」として書面にし、相続人全員の署名・押印をします。
なお、相続税申告を行うケースでは、遺産分割方法にも注意が必要です。
将来二次相続(最初の相続で配偶者と子どもが相続した後、配偶者が死亡したことで発生する二度目の相続)が起こるかどうかや、誰が・何の財産を・どのくらい引き継ぐかによって、最終的に手元にのこすことのできる財産額が大きく変わることもあるからです。相続税に精通した税理士であれば、そういった将来まで配慮したうえで適切なアドバイスや提案をもらうことができます。 - 相続税申告書類の作成、相続税の納付
納税地を所轄する税務署に必要書類の提出を行います。相続税の申告書のほかにも、相続人を示すために収集した戸籍や、金融機関の残高証明書等、さまざまな書類が必要です。
納税方法は現金による納税以外にも、延納や物納、不動産等の相続財産を売却して現金化してからの納税など、いくつか種類があります。専門家に依頼していれば、売却タイミングも含めてお客様の状況に沿った適切なアドバイスをしてもらえます。 - 不動産の名義変更と預貯金の解約
遺産分割協議の内容に基づいて、預貯金や不動産の名義を被相続人からその財産を引き継ぐ各相続人へと変更する手続きが必要です。
なお、不動産の相続登記が2024年4月より義務化が施行され、遺産分割の成立から3年以内に手続きを行わないと罰金の対象となることが定められております。相続税申告と同時に、こちらも速やかな手続きが必要です。
相続税申告における注意点
相続税申告には期限があります!
相続税申告は、相続開始の翌日から起算して10ヶ月以内が手続きの期限となっております。
この期限を超えると、「無申告加算税」や「延滞税」といったペナルティが課されてしまいます。さらには「配偶者の税額控除」や「小規模宅地の特例」といった相続税額を減額できる特例を利用することもできなくなることがあります。相続税申告が必要な方は、速やか且つ正確に相続税申告を行う必要があるのです。
特例等を使用した結果、相続税の納税が0円となる場合でも申告は必要!
ご自身で相続税申告を進めていらっしゃる方で、時折このようなケースがあります。相続税申告についてご自身で色々と調べている中で、被相続人と同居していたので小規模宅地の特例が使用でき、納税額が0円になることが判明し、「相続税がかからないので何もしなくて良いだろう」と思い込んでしまい、手続きをしない…というものです。
ところが、こうした特例は自動的に適用されるわけではなく、あくまで特例を使用したい旨を書面に記載のうえで相続税申告をしなければ利用できません。結果的に相続税の納税額が0円となる場合であっても、財産額が基礎控除額を超える場合には手続きが必要です。
正しい不動産の評価は専門家でなければ困難!
相続税申告においては、土地の評価は売却価格ではなく、「路線価」という基準を用います。固定資産税評価額や過去の売買価格など、独自の判断で評価を行ってしまうことは大変危険です。もし実際の評価と異なっていれば、後からその差額に対して追徴課税が課され、本来支払う必要のない税金を納めなければならなくなってしまうこともあります。
一方、税理士や不動産鑑定士に任せれば、土地の現況や形状等によって補正をかける等、税務署の認める方法の範囲内で評価額を下げられることもあります。
例えば、普通に評価すると8,000万円の土地であっても、専門家が評価をすることで6,500万円に抑えられる、といったケースもあり得ます。この場合、支払う税金は200万円以上も安くなります。税理士や不動産鑑定士への報酬を70~80万円支払ったとしても、結果的にはそちらの方が100万円以上得をできます。特に相続財産に不動産がある場合は、専門家に依頼した方が得策であるといえます。
税務調査で追徴課税となるリスクがあります!
一般の方が税理士に依頼せずご自身だけで相続税申告をした場合は、税務署は税理士が申告した場合よりも厳しくチェックする傾向があります。これは相続税申告にあまり詳しくない一般の方であると財産評価や税額の計算、特例の適用を誤っていることが多く、納税金額も過少に申告してしまっていることが多いからです。
具体的には、一般の方が持ち戻し期間(被相続人が生前贈与をしていた場合に過去3年分の財産を相続財産として計算すること)を考慮する必要があることを知らずに計算してしまい、結果として納税額が大きくずれてします、預貯金の調査漏れがあった、特例の要件に該当していなかった、などがよくあるミスとして挙げられます。
支払うべき金額よりも多く税金を支払っても、請求しなければ返金されない!
相続税はいわゆる「国税」と呼ばれ、申告納税主義で徴収されることが原則です。言い換えると、市民税のように「この金額を支払ってください」という行政からの請求に対してその金額を支払うのではなく、自ら納税額を計算して、自ら申告・納税を行わなければならないということです。
ここでの注意点は、仮に支払うべき金額よりも多く支払ったとしても、税務署からは「多く支払っているので還付します」と連絡がくるわけではないことです。ところが、支払うべき金額よりも少なく申告・納税した場合には、不足分の支払いを要求されるだけでなく、過少申告としてペナルティが課されることもあります。
そのため相続税申告は、正しい納税額よりも過剰に多く支払ってしまうことなく、かつ過少申告とならないよう細心の注意が必要で、たとえ税理士であってもノウハウの蓄積がなければ非常に難しい専門領域なのです。
相続税申告はプロに依頼するのがおすすめ
こちらでは相続税申告の流れや注意点についてお伝えさせていただきましたが、相続税申告は気を配らなければならないポイントが非常に多く、プロの力を借りなければ進めることが難しい手続きであるといえます。相続が発生したら、まずは専門家からアドバイスをもらったうえで、どんな手続きが必要か、ご自身だけで進めることができそうかどうかなどを判断するべきでしょう。
熊本相続税申告相談プラザでは、地域密着で活動している税理士が、熊本の皆様の相続税申告・相続手続きのお手伝いをさせております。
どなたさまも、まずは税理士との初回無料相談からお話を伺っております。無料相談では、丁寧にヒアリングをさせていただいたうえで、相続税申告が必要になるかどうかや、求められる手続きの流れや書類についてお伝えさせていただきます。まずは熊本相続税申告相談プラザまでお気軽にお問い合わせください。
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