身近な方が亡くなると、亡くなった方(被相続人)が生前に所有していた財産は、原則として「相続人全員の共有財産」という扱いになります。被相続人が遺言書を遺していた場合は、遺言内容に沿って相続することになりますが、遺言書がない場合においては、財産の共有状態を解消し、どの財産を誰が相続するのかを決める必要があります。この協議を遺産分割協議といいます。
こちらでは、遺産分割協議の実施や遺産分割の方法についてご説明いたします。
遺産分割協議の実施および遺産分割協議書の作成
遺産分割協議は、相続人全員の参加が必須となっています。遺産分割協議を実施した際に、相続人がたった一人でも欠けていた場合は、その遺産分割協議は無効となり、やり直さなければなりません。
また、未成年者の相続人や、認知症等によって判断能力が不十分な方は、遺産分割協議に単独で参加することはできません。相続人の中に未成年者や判断能力が不十分な方が含まれる場合には、任意後見人や特別代理人を選任し、その方にも遺産分割協議に参加してもらう必要があります。
遺産分割協議を実施し、遺産分割の内容について相続人全員が合意したら、その合意に達した内容を「遺産分割協議書」として書面にまとめます。遺産分割協議書は、財産内容および分配を明確に記載したうえで、相続人全員が署名し、実印を押すことで完成します。
完成した遺産分割協議書は、不動産の相続登記や、金融機関での手続き等を進めるうえで提出が求められます。もし相続人全員の署名や押印が欠けていた場合は、遺産分割協議書は無効となり相続手続きで使用することができませんので、作成には注意が必要です。
遺産の分割方法
預貯金など現金の分割については、「現物分割」といって、各相続人が協議で決定した取得分に合わせて財産をそのままの形で取得するのが一般的です。
しかし、不動産などはそのままの形できっちり分割することは難しく、現物分割では相続人それぞれが受け取る財産の価値に差が出てしまうことも少なくありません。このように現物のまま分割することが困難な財産は、「代償分割」や「換価分割」によって分割する方法があります。
- 代償分割
相続人の一部が財産を現物のまま取得し、その他の相続人に対して代償金等を支払う方法 - 換価分割
財産を売却して現金化し、現金を分割する方法
現物分割、代償分割、換価分割の3つから、どのような分割方法が最適か検討することになりますが、それぞれにメリット・デメリットがありますので、よく理解したうえで決定しましょう。
遺産分割がまとまらないときの相続税申告
相続した財産の価額によっては、相続税申告が必要となりますが、相続税の申告および納付には期限が定められています。その期限は「相続が発生した日の翌日から10か月以内」であり、相続税申告が必要にも関わらず、正当な事由のないまま期限を超過してしまうと、本来納めるべき税金だけでなく、加算税や延滞税なども課されてしまいます。それゆえ、相続税申告が必要な場合は定められた期限内に適切に手続きを行うことが大切です。
しかしながら、期限内に相続税申告したいのに遺産分割協議が一向にまとまらないというケースもあるでしょう。このように遺産分割が未了だったとしても、相続税申告は必ず期限内に行います。手順としては、民法に規定された法定相続分に基づき遺産分割したものと仮定して、納税額を計算し、申告納税を行います。そして遺産分割協議が完了次第、正しい内容にて修正申告あるいは更正の請求を行います。
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