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相続した不動産の手放し方(売却・贈与・相続土地国庫帰属制度)

相続財産の中に不動産が含まれるケースは少なくありません。それゆえ相続した不動産をうまく活用できず悩んでいる方も多くいらっしゃるかと思います。

ご自身で対象の不動産を利用しないと決めた場合には売却を検討するのが一般的ですが、必ずしもスムーズに買い手側が見つかるとは限りません。不動産の状況によっては、売却以外の方法で手放すことを考える必要があるでしょう。
こちらのページでは相続した不動産の手放し方についてご説明いたします。活用できていない相続不動産をお持ちの方はご参考にしてみてください。

相続不動産を売却したいケースとは?

相続財産が不動産のみで相続人間で遺産分割がまとまらない

例えば相続人が複数いるのに、財産が不動産1件のみですと遺産分割の話し合いがまとまらない可能性が高くなります。
相続人が3人、相続財産が自宅のみのケースですと、各相続人が3分の1ずつの持分で登記をし、不動産を共有することも可能ですが、後々のことを考えると得策とはいえません。不動産を共有している場合、3人全員の合意を取らないと不動産を売却することができず、不動産の今後の活用や処分において揉める恐れがあります。また、相続人の1人が亡くなると共有持分がさらに細分化されてしまい、共有者が増え一層足並みをそろえることが困難になるケースも考えられます。
そのため、遺産分割時に不動産を売却し、得た現金を相続人3人で分割したほうが将来的なトラブルも回避できるでしょう。

相続した不動産が管理できない

被相続人から土地や建物を相続したもの、遠方にあるため現実的に管理が難しいというケースです。土地や建物は定期的に管理や手入れをしないと近隣住民に迷惑をかける可能性があります。倒壊の恐れがある建物を放置したり、草木が隣の土地まで越境している状態のまま手入れを怠ったりした結果、近隣住民とトラブルになってしまったケースも少なくありません。
管理を誰かにお願いするにしても費用がかかるため、早めに方針を固めるべきといえます。

相続税の納税資金が足りないため、不動産を早めに売却したい

一定の金額以上の財産を相続する場合には、相続税の申告及び納税が必要となります。
相続税は原則として現金一括払いで納めることになりますが、相続財産のほとんどが不動産であったり、複数の不動産を所有していたりする場合には、納税費用を捻出するのが難しいこともあるでしょう。

相続税申告の期限は「相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内」と定められているため、10ヶ月という期限内に不動産の売却を完了させ、相続税の申告・納税を行わなければなりません。相続税申告の準備も必要になるため、売却に関しては正確かつスピーディーな手続きが求められます。

まずは相続登記を

不動産を活用・売却することができるのは、不動産の所有者のみです。そのため不動産を相続したとしても、所有者の名義が被相続人のままでは売却を進めることはできません。まずは登記簿に記載されている不動産の名義を被相続人から相続人に変更(相続登記といいます)し、不動産の売却を行いましょう

なお、法改正によって2024年4月1日より相続登記が義務化され、正当な理由なく相続登記を3年間放置すると10万円以下の過料の対象となりますのでご注意ください。

相続した不動産の売却方法

相続した不動産を売却する方法として一般的なのは、不動産会社に仲介や買取を依頼して売却活動を行い、物件の購入希望者を探してもらうというものです。

都市部にある宅地や駅前の建物といった条件のよい不動産であればスムーズに売却活動を行えるでしょう。
しかし地方の不動産や山林のような流通性の低い不動産を売りたい場合は、仲介をしてくれる不動産会社を見つけることすら難しいケースもあります。万が一仲介を断られてしまっても、他社であれば引き受けてもらえる可能性もあるので、いくつかの不動産会社にあたってみてください。

不動産会社の利用が難しい場合は他の方法で処分を検討

大手の不動産会社に仲介を断られた不動産であっても、地場の不動産会社や隣接する土地を所有する近隣住民が引き取ってくれる可能性もあります。「家の近くに資材置き場や駐車場がほしい」「自分の家の庭を広げたい」等のニーズも考えられるからです。チラシやポスティング等による地道なアプローチが希望の売却につながることもあります。

相続土地国庫帰属制度の活用も

相続土地国庫帰属制度とは、一定の要件を満たす土地については国が引き取るという制度です。令和5年4月27日から制度が開始になりました。

相続した不動産について前述の方法でも売却が見込めない場合には、相続土地国庫帰属制度を利用し、管理が難しい土地を手放す方法も選択肢の一つです。

なお、相続土地国庫帰属制度を利用するには法務局の審査を通らなければならず、1筆の土地につき1万4,000円の審査手数料の納付が必要となります。また承認され国庫への帰属が認められたとしても、土地管理費相当額10年分の負担金を納付しなければならないことを覚えておいてください。

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