相続税の納付は、原則、金銭での一括納付とされていますが、金銭による一括納付が困難な場合には「延納」という年賦払いが利用できます。また、延納をもってしても金銭での納付が困難であるという場合には「物納」という選択肢があります。物納が認められると、納税者は、一定の相続財産で相続税を納めることになります。
この制度を利用するには、納税者が下記の書類を揃えて、相続税の納付期限ないし納付日までに所轄の税務署に申請します。
- 物納財産目録
- 相続税物納申請書
- 金銭納付を困難とする理由書
- 登記事項証明書・境界線確認書・測量図 など
物納の要件
また、物納を利用する場合は、以下の全ての要件を満たす必要があります。
- 延納した場合でも金銭での納税が困難な事由がある
- 金銭での納税を困難とする金額を限度とする
- 定められた種類かつ定められた順位の財産であること
- 相続税の納付期限内に必要書類を添付し申請書を提出する
物納のメリット・デメリット
【相続税の評価に基づく評価額での物納】
- メリット:評価額に基づく物納のため、納付資金についての目安がつく
- デメリット:土地の形状、道路付き、貸地の場合は地代の額も関わってくる
【売却の場合】
メリット
- 評価額とは関係なく自由に売買額を決めることができる
- 相続税申告期限の翌日以後3年以内の売却は、取得費加算の特例が適用されるため、この機会に不用資産を処分できる
デメリット
- 相続目的だと相手に買い叩かれる恐れがあるだけでなく、そもそも売却できるかどうかわからない
- 売却まで延納による納付を行う場合、その間は利子税が課せられる
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