相続税申告では相続人の人数によって基礎控除額が左右されますので必ず相続人の調査を行います。2015年の税制改正より、相続税の基礎控除額が下げられたため、一般家庭でも相続税申告が必要になるケースが増えています。なお、相続税には相続財産を取得した人によって相続税の納付金額が異なる制度の「2割加算制度」が設けられています。
ここでは、相続税申告の基礎控除と加算制度についてご説明いたします。
相続税の基礎控除とは
相続税申告は相続で財産を取得したすべての人が必要になるわけではありません。相続や遺贈によって取得した財産の総額が相続税の基礎控除額を超えた場合に相続税の申告・納付を行う必要があります。相続税申告には期限があり、相続開始を知った日の翌日から10カ月以内に税務署への申告・納付が必要になります。
基礎控除額は下記の計算式より算出できます。
相続税の基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数
例えば、法定相続人が配偶者と子2人の計3人の相続の場合、基礎控除額の計算は下記になります。
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
相続財産の総額が上記計算式で算出した4,800万円を超える場合には、その超過分に相続税が課せられます。
上記のように、相続税は法定相続人の人数によって控除額が異なるため相続人の把握は重要です。この相続人の人数は養子や非嫡出子も換算されます。そのため生前の相続対策として養子縁組をするケースもあります。ただし、養子の場合、実子がいる場合には1人まで、実子がいない場合には2人までの換算となるため注意しましょう。
相続税の2割加算について
基礎控除額は相続する人が誰なのかによる金額の変動はありません。しかし、相続税の納付額は相続する人が誰なのかによって変わってきます。
相続税法では、配偶者又は一親等の血族以外の人が相続財産を取得する場合には、その方の相続税額の2割に相当する金額が加算されます。なお、配偶者又は一親等の血族以外であっても代襲相続の場合には2割加算の対象にはなりません。
特定の方に財産を遺す旨が記載されている遺言書がある場合など、通常の相続ではない形で財産を取得する際には、上記の点を考慮する必要があります。
相続税申告でまず重要なことは相続人を確実に把握することです。相続人は戸籍を取り寄せることで確認できますが、相続税申告のように期限が設けられている手続きもあるため、相続開始後早めに着手する必要があります。
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